「47NEWSの掲載記事についての抗議文」を送付しました

「47NEWSの掲載記事についての抗議文」を送付しました

先般、47NEWS等に掲載された記事について、適正AV業界の運用について誤った情報が掲載されていること等から、読者に対し、適正AV業界が悪徳な業界であると印象を与えることから、当該記事対し、訂正や削除をしていただきたいという旨の文書を送りました。
内容は下記の通りです。

2023年3月22日

「47NEWSの掲載記事についての抗議文」

一般社団法人siente
代表理事 中山美里

私たちsienteは、性の娯楽やサービス産業に関わる仕事を選んだ人たちが、職業差別による心理的な負担や生きづらさなどを解消し、偏見のない社会を作るため一助を担いたいと活動する団体です。

2023年2月23日に47NEWSを始め、Yahoo!ニュースや静岡新聞、山陽新聞デジタル等に掲載された『AV新法、効果が徐々に出始めた 施行直後は批判が渦巻いたが… 一定の評価する出演者ら 業界になお残る「混乱と課題」』(https://www.47news.jp/8979281.html)に対し、記事としていくつかの問題点があると考えられるため、一言申し上げたく本状をお送り致します。

1、「新法施行後のある日、素人に近い複数の男性出演者と撮影する機会があった。男性たちの様子に不安や屈辱感を覚えたが、現場に所属事務所のスタッフは不在。嫌なのに、誰にも相談できないまま応じざるを得なかった。」と記事内にありますが、新法施行後であれば、「撮影の対象となる当該出演者の性行為に係る姿態の具体的内容」「性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項」が契約書に記されています。
男性たちの様子に不安や屈辱感を覚え、誰にも相談できないまま応じざるを得なかったとありますが、契約を結ぶ前に性行為に係る姿態の具体的内容も相手方についても知らされており、その内容や相手方についても了承した上で契約書を締結しているはずです。

また、適正AVであれば、撮影中のどのタイミングであっても、撮影現場のスタッフに「この撮影はしたくない」と申し出れば撮影を停止することが可能です。所属事務所のスタッフが不在であっても同様です。
その適正AVで付与されている女優の権利を使うことなく、「嫌なのに、誰にも相談できないまま応じざるを得なかった」と後から述べることに対し、記者が疑問視することなく、また適正AV業界にルールの確認をすることなく、メディアに掲載するのは、適正AV業界に対し世間が誤った認識を持つ要因となります。同時に、適正AV業界に対する偏見を生み出します。

また、その後の文章で「契約後でも、出演者が望めば撮影を拒絶できる状態が確保されるよう、事業者には特に配慮が求められる。」とありますが、適正AVのルールでは、契約後でも、出演者が望めば撮影を拒絶できる状態が確保されており、メーカーや制作会社のスタッフは、出演者が常に望んだ状態で出演できるよう配慮しております。

あたかも「悪意のある適正AVの事業者により、撮影内容を知らされず、嫌な行為を今里さんは無理強いされた」と読者がミスリードするような書き方をすることは非常に遺憾です。法律及び適正AV業界のルールを正しく掲載してください。

2、「今里さんが考える課題は他にもある。所属事務所との出演料の配分だ。体を張っているのに受け取る報酬は事務所と五分五分。事務所によってはそれより少ないことも。事務所の「中抜き」により、女優への支払額が低く抑えられていると指摘する。」とありますが、こちらに関してもいくつか読者に対し、適正AV業界に対する偏見を植え付ける内容があります。

まずは「事務所によってはそれより少ないことも」という部分ですが、「事務所によってはそれより多いことも」あります。少ないことだけ書き、多いことは書かないというのは、適正AV業界の事務所が多くても5割しか女優に渡さないという誤解を与えます。女優のキャリア等により、その配分は異なります。

また、「中抜き」という言葉を使用していますが、これは文脈から察するに「中間搾取」や「ピンハネ」の意味で用い、本来の中抜きという言葉の誤用かと存じますが、事務所があたかも「何もせずにピンハネをしている」と読者が誤解しかねない言葉を使用するのは適切ではありません。適正AVの事務所がピンハネをする悪徳運営を行なっている事業者であるという偏見が生まれます。

適正AV業界の事務所は、女優の営業から、ギャラの交渉、撮影内容のすり合わせ、当日までのやりとり等様々な業務を担っています。撮影ごとの仕事だけでなく、その女優がより活躍できるようプロモーション活動やSNS運用のコンサルティング等も行なっています。そういった様々な業務に対し、報酬があるのは当然のことです。

尚、適正AV業界ではオムニバスなど二次利用作品が作られた場合には、二次利用料が女優に対し支払われていますが、この時の報酬は手数料として1割がAVANに入るものの、残りは全て女優に支払われています。他の業界では異なった慣習となっているはずです。例えば、出版エージェント等であれば、二次利用された場合にもエージェントに支払われるケースが大半です。しかし、適正AV業界の場合は事務所には二次利用料は払われず、その二次利用料の支払いに伴う事務作業は事務所が無報酬で負担している状況です。

AV業界で働いている人たちが誤解されることなく、また偏見を受けることがない記事が掲載されることを私たちは望みます。同時に、適正AVの運用を正しく知っていただきたいと思い、今回の文書をお送りいたしました。

つきまして、速やかに当該記事の削除または訂正を求めますとともに、記事に対する抗議を申し上げます。

草々

関連記事

コメント

この記事へのコメントはありません。

TOP