2024年11月23日

「天満東洋ショー劇場」の強制捜査と経営者らの10人逮捕について

sienteが訴えたいこと

 

一般社団法人siente

代表理事 中山美里

 

私たちsienteは、性の娯楽やサービス産業に関わる仕事を選んだひとたちが、職業差別による心理的な負担や生きづらさなどを解消し、偏見のない社会を作るため一助を担いたいと活動する団体です。

2024年1120日に、天満東洋ショー劇場に強制捜査が入り、経営者ら10人が逮捕された件がYahoo!ニュースや朝日放送、日テレニュース等に掲載されました。この強制捜査と逮捕について、当団体として社会に問題提起を致したく、また、異を唱えたく、ここに声明を発表します。

 

<報道記事>

【速報】「西日本最大級」ストリップ劇場を下半身露出した公然わいせつ容疑で強制捜査、経営者ら逮捕 万博控え取り締まり

「ストリップ劇場」経営者ら『公然わいせつ』の現行犯で逮捕。観光地化を懸念した警察が摘発

以下、報道記事中の文章について指摘していきます。

 

■この強制捜査と逮捕が「大阪万博の開催を控えた取り締まりである」と書かれています。

これまで、2020年東京オリンピック(2021年に開催)の際には、開催に先駆けて2018年夏にコンビニから成人誌コーナーがなくなった他、都内のピンサロが数多く摘発されました。オリンピック開催直前の20214月には東京・上野のストリップ劇場「シアター上野」で経営者ら6人が逮捕されています。

また、2019年にG20大阪サミットが開催された際には、飛田新地が6月2829日間を臨時休業として営業を自粛しました。

国際的な大イベントが行われる際には、その土地の風俗店やストリップ劇場などのセクシャルウェルネス産業(当団体では、風俗店やAV、成人向けアニメ・ゲーム・コミック・雑誌・書籍等の娯楽物の産業を総称して“セクシャルウェルネス産業”と呼んでいます)が摘発されたり、自粛を余儀なくされてきました。

五輪や万博、サミットといった大イベントでは、そのイベントが日本経済に寄与します。このイベントの特需により仕事が発生し、それを糧に生活する人がいます。

その裏で逮捕されるセクシャルウェルネス産業もまた日本経済に寄与しており、その仕事により生活の糧を得ている人たちがいます。

どちらも同じ人間で、同じように仕事をして、生活をして、日本の国の中で生きています。

今回摘発のあった「天満東洋ショー劇場」で働く踊り子さん、劇場の運営スタッフさんをはじめ、現代日本でセクシャルウェルネス産業を営む事業者のほとんどが、働くひとの意思を尊重し、搾取や強要のない健全な運営を行なっています。働くひとたちは、それぞれの選択によってその職業に就いています。

しかし、セクシャルウェルネス産業で生活をする人は、突然に、行政機関等から摘発を受け、逮捕され、仕事を余儀なく中止せざるを得なくなります。時には、その仕事を廃業せざるを得ない状況に追い込まれることもあります。いわれのない横暴を受けています。

行政機関等が、セクシャルウェルネス産業で働く人の職業・生活の手段を奪うことは、重篤な人権侵害であり、憲法違反であると私たちは考えます。

 

■「劇場の存在に対して苦情が出ていた」とあります。

「天満東洋ショー劇場」は1964年に開館したとされており、苦情があるのであれば、なぜ、今になってその苦情に対応したのか疑問を覚えます。

苦情があるとされていますが、その内容や数が明らかにされていません。しかし、ストリップを応援する声は、yahoo!ニュースのコメント欄やSNSの投稿に数多くあります。民意を正しく受け止めてください。

 

■「客の1割ほどは外国人観光客で観光地化していたという情報もあり、来年の大阪・関西万博を控え、取り締まりに踏み切った」とあります。

これはストリップが、外国人観光客から関心を持たれる日本の文化・芸術として成熟した結果とも言えます。
現在、ストリップは日本人男性だけでなく、女性や外国人観光客が足を運ぶ大衆芸能を楽しむ場となっています。
ストリップ劇場で「公然わいせつ罪」が適用となっていますが、劇場に入るには入場料がかかり、ゾーニングがされていると考えます。また劇場に入る人数も限られています。
加えて、ストリップには、「公然わいせつ罪」による被害者がいません。
ストリップという芸術・文化に対し、「公然わいせつ罪」が適用されるのかを見直す時期に来ているのではないでしょうか。

 

性欲は、人間に備わった欲求の1つであり、健全にその欲求を満たすことはQOLの向上に役立つと私たちの団体では考えています。

性の娯楽やサービス産業は、多くのひとの需要があり、その上で職業として成り立っています。働くひとたちは、それぞれの選択によってその職業に就いています。

性表現の仕事だから、性のサービスを行う仕事だからと、偏見や差別をするのはやめてください。

セクシャルウェルネス産業で働くひとたちが、いきなり仕事を奪われることのない世の中を願います。

※2024年11月24日に一部修正しました。

 


2件のコメント

シャナ・マリー・マクラフリン · 2024年11月25日 9:54 PM

亀石倫子弁護士なども、抗議してましたね。ストリップは犯罪ではない!

亀石倫子弁護士とsienteの講師にリクエストします!

シャナ・マリー・マクラフリン · 2024年11月26日 5:39 PM

連続投稿すいません。

宮越里子さん、菊地夏野さん、亀石倫子弁護士、上瀧浩子弁護士にもsienteの講師など協力を希望します!

いまや日本では数少ない?セックスワーカーの味方なフェミニスト。

宮越さん、要友紀子さんらと共にAV新法デモに参加してくれましたし、上瀧弁護士は「風俗・売春禁止論は当事者の意志決定権をないがしろにしてる」という意見で、最近もXで「AVや売春を禁止しても地下に潜り当事者を追い詰めるだけ」と投稿。

上瀧弁護士は関西の弁護士ですから、今回のストリップ逮捕にも反対でしょうね。

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